manya_kunのブログ

日々の読書の気づきの記録

「国家主義者」の不満が侵略を選択する

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日本とロシアの問題について

プーチンが日本に期待していることは、日本がアメリカに縛られず自国の国益に基づいた主権をどこまで示せるかということだ。

 

日本の置かれた立場は、

北方領土問題解決というロシアとの関係

②ロシアによるクリミア半島併合という主権侵害に反対する西側諸国との同盟関係

③自国の領土をアメリカに守ってもらっているアメリカとの安保関係

 

ロシアとの交渉がうまくいかないのは、日本はどれを優先的に考えているのかというスタンスがロシア側にとって不明瞭であることだ。

日本はアメリカの防衛力なしに自国を守ることができないことから、アメリカとの安保条約はなくてはならない。

一方でロシアによる他国侵略行為に反対を示さなければ、容認していることと同じであり、自国が侵略されても文句は言えない。

そういった中、ロシアとの北方領土問題をどのように解決するべきなのだろうか。日本はそもそも北方領土を返還してもらう意義は何か?

 

①元々日本の領土だったから

②条約を一歩的に破棄したのはロシアだから

 

では返還してもらったあと、その領土をどうしようとしているのか?

結局日米地位協定に基づきアメリカにいいように使われるだけなのではないのかというロシアの懸念はよく理解できる。

ロシアは国防に敏感な国。

アメリカとロシアのいがみ合うもの同士の間に入って、それぞれ片方の手でそれぞれの国と握手をしたいという日本の都合のいい交渉では、今後もプーチンを納得させることはできないのではないだろうか。

 

昨今のウクライナ戦争について

ロシアによる一方的な軍事侵攻はどんな理由があっても許されるものではない。

しかし、そうした意見はロシア側の言い分を把握したうえでの批判となっているのだろうか?

あくまでも今のウクライナ戦争は、ロシアとウクライナとの2国間の問題であって、他国が直接関わるものではないかも知れない。

ソ連崩壊によりロシア西側の連邦国は次々とEUに加盟した。そのことはプーチンも経済協力の重要性を理解しており問題視していない。

しかし、それらの国がNATO北大西洋条約機構)へ加入することを問題としている。

NATOは対ロシアのための軍事同盟である。

ロシアの立場からすれば、我々は欧米各国と良好な関係を築こうとしているにも関わらず、なぜ我々を敵視した軍事同盟の加入が必要なのかというところだろうか。

そういった視点で考えてみるとウクライナはなぜNATOへの加入を目指しているのかということも理解しなければならない。

どちらにも言い分がある。単純な「善」「悪」の2極化の問題ではなさそうだ。

この戦争の終結はどのようにむかえることとなるのか。そしてプーチンの本心はどこにあるのだろうか。

 

世界の大国の防衛費増加について

人類は未だ武器を捨てることができないでいる。

ウクライナでは戦争犯罪と言われるロシア軍による一般人の虐殺が行われ、各国はロシアに更なる追加制裁を行うこととしている。第2次世界大戦以降、最も世界が緊張状態となっている。

全ての始まりは核を人類が手にした瞬間から始まったのではないだろうか。

あの大量虐殺兵器を保有している国からの脅威を思うと自国の防衛力を強化しなければ太刀打ちできないといった心境も理解できる。

そういった負の連鎖が武器を捨てさせることができない世界をつくりあげてしまっている。

核の保有こそが国家の強さであるということが、戦争がなくならない世界を作り出してしまっている。

人間以外の生命は、自らの幸せのため自然と共生共存し日々の暮らしを安らかに営んでいるというのに。

人間は本当にこの地球において進化した高尚な生き物なのだろうかと疑ってしまいそうだ。

 

プーチンの行動原理について

プーチンソ連の崩壊を機にユーラシア経済連合を構築したいと考えていた。

ソ連を構成する連邦国はそれぞれその経済連合によってつながり、ゆくゆくはEUとの経済連携にもつながっていくことを期待していた。

その思惑とは裏腹に各国は欧米側のEUに次々と加盟していく。まるでロシアを拒否するかのように。

それだけにとどまらずNATOの軍事同盟にまで加盟し、ロシア近郊の東欧にまで拡大し範囲を広げ続ける。

各国と連携を希望しているプーチンとしては「なんで我々を毛嫌いするのか、またそれだけにとどまらず我々を敵国とする軍事同盟に加盟するのはなぜか!」といったところだろうか。

だから「我々の言う通りにならない奴らはけしからん!」といった行動に出ているのがこれまでのロシアを取り巻く一連の問題となっている。

嫌われるには嫌われるなりの要因があるはずだ。

一方的な感情を押し付けられても、受け入れる側がそれに納得できなければ拒否されても仕方ないのに、受け入れてもらえないことに勝手に怒りだし、軽率に他国に侵略することは、身勝手極まりない。まるで子供が癇癪を起こしているようだ。

冷静になって考えれば大人だったらそのことに気づいて然るべきだと思うのだが、なぜこんなことにすら思いを馳せることができないのか理解に苦しむ。

なんでも自分の思うようにならなければ気に入らないという一人っ子のような状態になっているから、自分を俯瞰して見ることができないのだろうか。

また、他の人の意見を受け入れ自分の行動を見つめる謙虚な姿勢なしに、他人に受け入れられたいなどというのも身勝手な話だ。

自分を受け入れてもらうためには、まずは自分が変わらなければならない。

それは大きな国と国との話に限らず、人間が分かり合える原点ともいえるものであるはずだ。

それにも関わらず、我々は強いんだぞ!といって大量虐殺兵器をちらつかせ、言うことを聞かないとぶっ飛ばすぞと言わんばかりに脅してくる人に誰が一緒に手を取り合って頑張っていこうと思えるだろうか。

せっかくいいアイデアを持っていてもそれでは分かってあげようと思ってもそうはいかない。

お互いに手を取り合える関係の構築なしには何もなし得ない。

脅して屈服させることは憎しみや悲しみの負の連鎖をもたらす。

人々が分かり合える方法はすでに答えがあり、みんな知っているはず。

世界は未だ一つになれず大人になれないでいる。

 

プーチンの本質は国家主義

旧ソ連共産主義を目指したいわけではなさそうだ。

ユーラシア経済圏を構築して、EUや中国のシルクロード経済圏との連携により、ロシアの国益をあげたいという理念のもとに行動しているという。

しかし周辺各国はその理念を知ってか知らずかロシアから離れようとし、それを阻止したいロシアの軍事侵攻が行われる歴史が続いている。

それらの行動は各国から見たら身勝手な行動と写り、ロシアを経済的に孤立させるべく制裁を加えることになり、プーチンの思惑とは真逆の結果となってしまっている。

どんな高尚な理念を掲げていても、各国の主権を一方的に脅かす軍事侵攻は許されるものではない。

今のウクライナ侵攻においても、世界はどのようにロシアと向き合っていけばいいのか模索が続いている。

対話による解決を目指すのなら、まず相手(プーチン)が何を求め何を不満と思っているのかを理解する姿勢が必要なのではないだろうか。

一方的に「軍事侵攻は良くないことだ!」「ロシアは軍を即刻撤退させるべきだ!」と言ったところで、おそらくプーチンの心境は変わらないだろう。

経済制裁で軍を動かしにくくすることも必要だが、やはり対話による解決を目指すのならば、まず相手の言い分は何かのかを聞き、理解出来ること、できないことを相手に伝えるという姿勢が大事なのではないか。

ユーゴスラビアでの相次ぐ独立に対するNATOの軍事介入と、ウクライナでのクーデターによる政府転覆をきっかけとしたクリミア併合に対する欧米の対応はプーチンから見たら辻褄が合わないことに不満を感じているという。

そのことを真剣に議論し何が世界を歪めてしまっているのかをお互いが納得の行くまで議論をし尽くすことが、今後の和平に至るプロセスには欠かせないものではないのだろうか。